センター長よりご挨拶

 深層民主主義を実践するセンターへ

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一般社団法人 日本プロセスワークセンター
センター長/代表理事
佐野浩子

 ウェブサイトをご覧いただき、ありがとうございます。

 日本プロセスワークセンターは、IAPOP(国際プロセス指向心理学協会)が認定するプロセスワークの認定資格・プロセスワークディプロメイトを授与できる日本で唯一の機関であり、プロセスワークの全領域についてのセミナーを提供しています。

 プロセスワークは1970年代に、ユング派の流れを汲む“娘”として、スイス・チューリッヒで産声をあげました。その後本拠地は1980年代にオレゴン州ポートランドへと移り、現在ではアメリカ国内・スイスだけではなく、イギリス、イスラエル、インド、オーストラリア・ニュージーランド、ギリシア、スペイン、スロヴァキア、ポーランド、ロシア等世界各国にセンターが誕生しています。日本では、世界的にプロセスワークが広がる流れの中で、2001年に前身団体が発足し、2005年からは現在の名称へと変更、2008年からはディプロマプログラムが開始され、2014年度には一般社団法人となりました。2015年には下北沢から目黒へと移転、新プログラムが開始され、センター長・理事の交代と、大きな変容の時を迎えました。

 センター長の大役をお引き受けするにあたり、日本プロセスワークセンターをどのような場所にしたいか、繰り返し自分に問いかけて参りました。

 私が大切にしたいことは、まず、すでに前センター長の時代から培われてきた「ラーニングコミュニティ」の風土です。センターは、ディープデモクラシー(深層民主主義)に基づき、「教えるー教わる」という教員と生徒の固定された関係を超えて、ランクや立場の違いも自覚しながら互いの声を聴き合い、学び合うコミュニティとともにあります。この学び合いの風土を大切にしながら、センターはディープデモクラシーを実践・体現していきたいと考えています。

 さらに、今後大切にしていきたいこととして、より多くの人にプロセスワークを手渡していくことが上げられます。
 日本には多くの課題が山積しています。東日本大震災からの復興や原発・エネルギー問題、不景気からの回復と国としての債務、改憲問題や隣国との歴史的課題、テロの脅威…複雑に絡み合った問題に、無力感や政治への憤りを感じられる方もいるかもしれません。自らの生活に精一杯で、それどころではない方もいらっしゃるでしょう。ですが多くの人の意識の底に、「よりよい世界を作りたい」という強い願いがあると感じています。

 多くの組織や集団が経験するように、課題や問題を直線的に解決しようとしても、単純にはいきません。問題の背後にある絡み合った感情や潜んでいる葛藤を扱わない限り、腑に落ちる形で問題が収束することはあり得ないと言えます。

 プロセスワークが目指すのは、普段は表に出てこない小さな声を聞くこと、敵対する相手であってもその立場に立ち、そこから世界を見てみること。これらを通して、そこに関わること全体の理解を深めていくことです。そうした積み重ねを経て、はじめてその問題を抱える場が、変容していけるのではないでしょうか。私たちはいまこそ、プロセスワークが世界にとって役立つものであろうと確信しています。

 また、プロセスワークは外の世界で起きている問題や課題が、フラクタルに(相似的に)私たちの心の中に存在していると考えます。私たちが心の中の相反する思いや普段意識していない部分に目を向けていくことが、(直接的な目に見える形で影響を与えなくとも、)なんらかの形で世界に影響を与えうる、という仮説を持っているのです。この仮説に立つと、実際に何かの社会活動に携わらなくても、毎日自分の心に丁寧に目を向けることが、この世界への貢献になると言えます。

 プロセスワークは、あなたの生活に寄り添い、人生を深め、非線形的な形で世界に貢献するためのツール(道具)となり得るのです。私たちは世界がよりよい場所になってほしいと願う方に、これからもプロセスワークを手渡していけたらと思っています。

 また、これからも運営にあたるファカルティ全員が、現実的な側面を大切にするのと同時に物事の裏側にある様々な葛藤や思いに目を向け、センターの運営そのものに、プロセスワークを生かし実践していきたいと考えています。

 最後になりましたが、プロセスワークがこれほど日本に広まり、センターが存続してくることができたのは、プロセスワークを愛してくださる皆様、センターを応援してくださる皆様のおかげだと、深く感謝しております。これからも、日本プロセスワークセンターは、プロセスワークを通して、社会をよりよい場所へと変容させる貢献を、皆様とともにしていけたらと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2015年7月吉日