社会課題のすべてがある学校というフィールドで、未来の種を蒔く
~ふたりが共有する問い~
いま起きていることが教えてくれる、この人の課題は何だろう?
【対談インタビュー】
小学校養護教諭
古江ひろ子 さん
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スクールカウンセラー/臨床心理士+認定プロセスワーカー
村松康太郎
養護教諭として経験豊富な古江ひろ子さんと、認定プロセスワーカーでありスクールカウンセラー/臨床心理士としてのキャリアを重ねる村松康太郎が、首都圏のとある公立小学校で出会ったのは今から6年前の2013年のこと。その後まもなく古江さんは村松を講師にと口説き、地域の教員の方たちと事例検討会を発足させる。プロセスワークを基盤としたアプローチで進めるこの事例検討会では、村松は講師というよりもファシリテーターである。会は地域のキーパーソンとなる教員たちを巻き込みながらメンバーを増やし、リアルな事例検討の成果が日々現場に還元されているという。
そのフレーズに魅了された
――古江先生そして地域の教員の方たちと一緒に村松が続けている勉強会の活動は、今年で6年目と伺いました。
この「対話で取り組む事例検討会」は、どんなふうに始まったんでしょうか?
古江先生(以下(ふ)) 私たちは何か問題に直面したときに、すぐ原因を求めてしまいます。なぜこういうことが起きたんだろう? この人はどうしてこういうことをしちゃうんだろう?と。
人を〈いい人〉〈悪い人〉というふうに分けないで、物事が起きているのにはそれが起きる意味、あるいは目的がある。そういうふうに捉えたほうがいいですよ。
村松さんのこの言葉を聴いたとき、養教(養護教諭)としてすごくしっくり来ました。何か物事が起きるのはお互いさま。例えば、怪我をした子、怪我をさせちゃった子がいるけど、それにはそれぞれ理由があるよねということ。悪者をつくらない(問題を誰かのせいにしない)っていうフレーズにもすっかり心が動きましてね……。
「原因は原因で突き詰めてもいいんだけど、そればっかりに振り回されちゃだめだよ」と。私と村松さんは6年前にはじめてお会いしたんですけど、初めの1年間そのフレーズを言い続けてくださった。そして事例を分析していただく中で、「これは今の教育界に絶対必要だ」と確信して、「勉強会をしていただけませんか」と声をかけました。