社会課題のすべてがある学校というフィールドで、未来の種を蒔く

教育現場コンサルテーション古江ひろ子さん×村松康太郎

相手がみずから土俵へ上がる

(ふ)村松さんはよく折に触れて話してくれるんです。

ファシリテーターっていうのは、自分がこうしよう、あーしようって発信する人じゃないよ。関わっている人たちが自分からあーこうしてみよう、こうしてみたいっていう風に引き出すのがファシリテーターだよ。

村松康太郎(以下(こ) 最近ね、先生に抜かされた感が(笑)。ちょっとね、ここ1、2年の古江先生って凄くて、事例を見せてもらうと、もう言うことないな、みたいな。必要なことがちゃんと起きているんですよ。

スクールカウンセラーの仕事って、保護者や子どもとの面接ともう一つの大きな柱として教員のコンサルテーションがあります。いま古江先生が話してくださったようなことが教員のみなさんとの間に起きるわけではないですが、古江先生は着実に掴んでくださっていますね。

(ふ)力んで、お母さんのこういうところが課題だよねーなんてことをやっちゃってるときには何にも起こらなかったのが、子どもが、保護者が、自分から言いたくなる土俵に乗っかってくるということができる、それがプロセスワークだと思いますね。

(こ)プロセスワークはきっかけになっただけで、古江先生が持ってらっしゃった何かが発動したって感じが僕はしてます。

(ふ)これは村松さんに会う以前のことですが……。例えば、クラスで問題ばかり起こして、担任もお手上げ、みたいな生徒が、私のところに来るときのその子は素直でいい子だったりする。この子の本当の姿は違うよと言いたい。この子にはこういう弱さがあって、こんないいところがあるのにどうしてわかってくれないんだろうと。当時ほかの先生たちと距離を感じて、私めげましたよ、すっごく。だって共鳴してもらえない。

でもそういうことも解決していただけましたね。「今起きていることは、この子にとって必要だから、何か意味があるから起きているんだよね」と発信の仕方を変えたら、「えっどういう意味があるの?」って聞く耳を持ってくれるようになった。そこですかさず、村松さんに訊いてみようと繋げるんです。

ほんとに救われてる子どもたちがいっぱいですし、家族も救っていただいています。