代表からのご挨拶
絶え間ない「変化」に向き合う
「知恵」としてのプロセスワークを届けたい
日本プロセスワークセンターのホームページにようこそ!
私がプロセスワークと出会ったのはかれこれ20年近く前のことになるが、最初はなかなかその考え方やアプローチに馴染むことができなかった。特に、プロセスワークでよく言われる、次のような言葉が私を悩ませた。
「起きることにはすべて意味がある」
その頃の自分は世の中の不公平や差別、不条理についてなんとかして変えたいと強く願っており、世界で起きる様々な悲しい出来事に対して許容できない気持ちが強かった。そのような自分にとって、この言葉はあまりにも無責任であるように感じられたのだ。
ところが、半信半疑のまま学び始めたプロセスワークのセミナーなどで、私は人の心が実際に変容し、グループが変容する様子を目の当たりにした。それも、意見の違う人たち、立場の違う人同士が、それぞれの立場をそれぞれに深めながら「対話」をすることで、それ(変容)が「起こる」のである。
プロセスワークでは、どちらかの考え方や立場が正しいとか、間違っているとかということは言わない。解決のために「間違っている」側をやっつけたり、「あるべき方向」を指し示すわけでもない。ただ、「起きることにはすべて意味がある」と信じて、そこに心を開き、従い、様々な立場や考え、そして「声」に耳を傾けることで、「起こるべき変容が起こる」ことを促していく。
創始者のアーノルド・ミンデルは、子どもの頃に自分を殴った相手に仕返しをする代わりに、どのようにしたら「理解し合えるのか」と考え、その「願い」がプロセスワークを生み出した背景にあるのだと言う。
自分の中の深いところにある「声」を場に出した瞬間、グループ全体が変容する。
どうしても許せないと感じていた相手が絞り出した「声」の中に、自分の中にあったかけがえのない「真実」を見つける。
辛い身体症状を探っていくと、自分でも気づいていなかった「深い願い」に触れる。
個人カウンセリングやコーチング、カップルセラピー、家族カウンセリング、組織開発、オープンフォーラムなど、様々な場所で、そんな奇跡のような瞬間に何度も立ち合わせてもらった。世界には今も様々な問題や葛藤が溢れているが、同時に素晴らしい奇跡にも溢れているということを、私はプロセスワークを通して知ることができたのだった。
矛盾や葛藤、対立、混乱、そして絶え間ない「変化」に向き合う、一つの「知恵」としてのプロセスワーク。私たち、日本プロセスワークセンターは、この「知恵」を一人でも多くの必要とされる方々に届けたいと、心から願っています。
一般社団法人 日本プロセスワークセンター
センター長 村松康太郎